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空の追憶の果て。 ―Wishes upon the sky―

自他共に認める永遠の146センチの創作・エンタメブログです。おもに小話や短編、その他創作などをのんびりと更新していくことになると思います。なお、小説類は転載・持ち帰り禁止です。


そして、4月12日、ツアーライブの日。

―「……ん…?おーい、真?」
隆がぼーっと遠くを見つめている真の目の前で手をふると、真がはっと我に返った。

「あ、隆……何…?」
 返事もなんとなく、いつもの彼らしくない。
「……いや…何かあった?」
「え?別に何もないで…?どうしたん急に」
「なら、いいけどさ。髪セットすんの手伝おうか?もう後30分だし」
 隆が時計にちらっと目をやってから話すと、真がああ、と声を出した。
「ほんまや、急がなっ。隆、頼んでもええ?」
「え、うん。てかいつもやらされてるじゃん?(笑)」
「人使い荒いみたいに言わんといてや(笑)」

急にいつもの調子に戻った真に戸惑いつつも、隆は手でワックスを伸ばしながら鏡の中の真の顔を見ていた。
  鏡の方に向き直った真は、また思いに沈むような表情に戻って、でも隆と話すときだけは明るい表情になるのだった。

それでも、心なしか瞳に力がない。

「…やっぱ、なんかあった?真らしくないよ、セット頼みに来ないなんて」

 実のところを言うと、真がこうなったのは今に始まったことではなかった。

一ヵ月前くらいから…そう、ちょうど2月の終わりごろとある雑誌の取材で会ったときから、どこか様子がおかしかった。
 あの時はかろうじて笑っていたが、つきあいの長い隆には、それが真の得意な「演技」だと一目でわかった。

 それからだんだんと笑顔が少なくなり、撮影のときや仕事の時以外はあまり笑わなくなった。
 しまいには、寝言を言いながら苦しそうな顔をする始末。

隆は大体原因に見当がついていたが、最初のうちは時間はかかってもそのうち立ち直れるかな、なんて思っていた。
だが、日に日に沈んでいく真を見て、このままでは真が壊れてしまうんではないか、と心配になってきたのだ。

 普段は人に相談して解決してしまうあの真が、ここまで一人で思いつめるなんて―。

「………ライブ前やし、こんなこと話さん方が…」
「だからじゃん?ライブの時にそんな顔してたらお客さんに心配かけるだけだよ」
「……。…う、ん…せやな…。実は…」

 真の話を聞きながら、鏡の中の彼の表情がだんだん曇っていくのを、隆は真の髪をセットしながら見ていた。

「…それで、どうしたらええかわからんくて……」
「あのさ」
 泣きそうな顔の真の言葉をさえぎって、隆は強い、意思のある声をだした。

「いままでも結構そういうことってあったじゃん?でも真はさ、「それは俺のこと芸能人として見てるからだと思う」って言ってたでしょ。
 今、そう言われて自分の気持ちに悩んでるって時点で、答えはわかってるんじゃない?後悔してるんだよ、自分がその時そう言ったことを、自分自身がさ」

 鏡の中の俯いていた真の顔が、何かを理解したように隆を見上げた。

「与果真として、後悔してるんだよ。その子の気持ちはファンとしてより大きいってわかってて、自分の心の底にある気持ちを素直に伝えられなかったから。
 真は与果真として、その子に答えたかったんじゃないの?はい、できた」

 いつのまにか髪のセットは終わっていて、隆は自分の髪型も確認しながら自分の場所に戻る前に、真にこう言った。

「芸能人としてとかその子も真もお互い遠慮してたみたいだけどさ、俺らその前に一人の人間なんだよ。その子が「好き」なのか、彼女として付き合いたいのかは、「与果真」が決めることなんじゃない?」
「……。」
   真は少し考えて、何かを決めたかのように顔を上げた。
その瞳は、ついさっきまでの力のない瞳とは全く違っていた―。




「あと、5分で始めます!」 
ライブ本番まで、あと5分。舞台裏は、せわしない。


「あぁあ、間違ったらどうしよ、えぇとこの歌が…で…」
「おい、日多うるせぇよ;」
「でも今回ホール大きいし、さすがにいつもより緊張するよねー」
「大丈夫だよ千晶!ほら、深呼吸深呼吸!」
「あー…まじで気持ち悪ぃぃ」
「隆、楽屋でずっとうろうろしてたからね(笑)」

  A2Cのメンバーも、さすがに皆緊張気味だ。
が…緊張しているからか、余計にうるさい。
もっとも、客席は沸き立つファンでもっとうるさいので、どんなにうるさくとも7人の会話など聞こえるはずがなかった。

「隆、大丈夫?」
「…大丈夫じゃない(汗)。いいなぁー真はクールでさあ」
「やー、俺も緊張してるねん。…あー余計緊張してきたわぁー」
「……真さーん(笑)」
「ん?なん…わわっ!!」
   真に抱きつこうとした隆を、真は押し返してなんとかかわした。
「何で逃げんのっ」
「逃げへんほうがおかしいわ。」
「ちぇー可愛いから緊張ほぐしてあげようかと思ったのにさ」
「なんやそれ(笑)」

  真の瞳は、輝いていた。まるで強い意志がみなぎっているかのように…。
 ふてくされる隆に、真は笑いながら呼びかけた。

「…隆」
「うん?」
「ありがとうなっ!!」

  そこには、真の本当の笑顔があった。
つられて、隆もにん、と笑う。
   「おうっ!」

―…。



  ステージに出ていく瞬間、真は隆の楽屋での言葉を思い出していた。

『その子を「好き」なのか、彼女として付き合いたいのかは、「与果真」が決めることなんじゃない』

ステージの照明が、真を照らす。隆の声が、会場に響き渡る。


「A2C、今日も盛り上がってこー!!」



              ―胸の奥には、俺の等身大の恋心。
もう遅いけど、それでも……。もう、言えんかもしれんけど……。



莉央の事、俺も「好き」や―。



その時、客席の中の、見覚えのある笑顔と目が合った。

『そういえば、こんなに笑うの久し振りかも…』
  少し伸びたミディアムショートの髪に、寂しげな…いや、今は、優しい瞳。


(莉……央……?)


  一瞬、ステージ上で真は素の「与果真」に戻った。
隣にいるメンバーのトークが遠のく。


向こうも、一瞬表情を変えた気がした。
 そして、莉央はしばらく真を見つめると、穏やかに、微笑んだ。
と、同時に一曲目の音楽が始まる。


真の胸の奥が、小さく鳴った。    …とくん。

自分でもわかるくらい、顔が赤くなって…。


―でもきっと、踊ってる最中やから誰も気づかへんのやろな。

そんなことを思いながら、真はサビにかかった瞬間に再び目が合った莉央に、自然に、ごく自然に、笑い返していた。


  真の胸の奥の恋心が、音楽と、小さな心の音ともに動き出した。




*  *  *



…はぁ。

更新出来るまでに2回、ブログのエントリーが消えました。

疲れた!もう…気力なくなった。(ぇ

それでもアップしておきたかったのです、かなり長いけど!!!!

あと言い忘れてたのですが、番外編はモデルさんのある曲を流しながら聴いてもらえると雰囲気が倍増すると思います!知っている人ぞ知っている、あれです!(何;

今日のブログは真ちゃん!!
 毎回本当に感心するけどどれだけ顔文字知ってるんだろう、って思います(笑)
ぶどうおいしかったのかな?親御さんが送ってきてくれたぶどうだったらたぶん京都のだよね
 京都は果物もおいしいです、はい。

ダンスの王子様も感想かこうと思ったんですが(というか書いてたんですが)、さすがに2回も消えて精根尽きました。
?
ので次のエントリーで書きます!コメ返信も遅れてしまいますがごめんなさい…すべてはパソコンのせいです。(ぇ

では、蒼海聖奈でした!ばいばいっ!!!!

みなさんに今日も幸せなことがたくさん起きますように。

追記:AAA3周年記念おめでとうっ!!
   昨日だったんですよね、一応知ってはいたんですがパソのせいでいいそびれ(人のせいにするなっ;;

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「真くん、もうちょっと笑ってもらえる?」
「あ、はいっ、すいません」
「そうそう、そんな感じー」

  カシャ、カシャッ―。


―……。

「でさ、美紗子と千晶にそんなことしてたらオフショットの中に入っちゃうよっていっててさぁ」
「そうなんや(笑)なってしまうやろなー」

それから何日か経って―…。
  隆と二人で載る予定の雑誌の撮影の合間、真はいつもどおり隆と談笑していた。いつもと変わらぬ笑顔で、笑っていた。


―我慢強く耐え忍んで、心を動かさないこと。―

「堅忍不抜」。

それが、真が心に決めていたことだった。
今までの人生の中で、それを守れなかったことはあまりないし、ましてや自分の仕事柄それを守れなくなると周りに迷惑がかかることも十分わかっていた。

「あ、次のツアーライブのことなんだけどさー」
「ああ、うん」

(…ツアーライブ……莉央と初めて会ったのも、ツアーライブやったっけ)

  ドクンッ―。ドクン…。
 

―莉央。莉央…。
…なんで…ずっと今まで大丈夫やったのに。
どんなことにも、耐えてきたのに。
なんで…こんなに莉央のことばっかり思い出すんやろ?
どうして…こんなに泣きたいんやろ。
  …誰か、教えてや…。



 
最初のうちは、真も表向き何事もなかったように毎日を過ごしていた。
 でも、そのうち普通に笑う事ができなくなってきた。

 時折、なにかがあるたびに真は思い出すようになっていた。
あの日見た、莉央の笑顔。最後に見た、莉央の涙。
そしてあの、ラベンダーの香り…。


―……。

「……莉、央……?ごめん、な………」
   移動中の車の中、顔を歪めながらそんな寝言を呟いたことを、真は知らなかった。ただ他のメンバーは、それをしっかりと聞き届けていたのだった。
「!聞いた?今の…」
「うん……珍しいよね、真が移動中に寝ること自体」
「…なんか、悲しい夢見てるみたいだな」
「…れおって…誰だろうね」

  メンバー4人が不思議がる中、光弘と隆だけは心配そうに真を見ていた。


―…胸の奥が、痛い…。
   どうしようもなく……痛いんや…。
 俺のほうから振ったのに…どうしてなん?
自分の気持ちがわからんねん……ただ、胸の奥がほんまに痛いんだけは、わかる………。


 こんなに、俺の中で莉央って大切やったんや…?
もういまさら、どうしようもないことやのに。
俺は、どうしたらええのんやろ……。

                            *


『…真』
「莉央っ!?」

   完全に起きていない頭をフル回転させて、勢いよく起こした上半身を壁にかかっている時計の方へ向けると、もう3時を回っていた。



―俺が、女の子のことで夢にうなされて夜中に目を覚ますなんて。


「……俺、おかしいわ。ドラマの主人公やあるまいし、ほんまに何やってん…っ、」
  自分に一人ツッコミをしてはは、と額に掌を当てた真の言葉は、途中で勢いを失い途切れた。

    ツー……。
自分の頬を、涙が一筋伝っていた。

「……っあかん……空しくなってきた……っ」

まるで感動系の映画を見たあとのように、真の瞳からは涙が一滴、二滴と次々に流れてきた。
人生で初めて、真は恋で涙を流した。

「誰も見てへんから……ええやんな……。…ぅっく…うー…」

―悲しいからとか、そんな単純な理由で泣いてるんじゃない。

もう、会えない。
こんなに夢中になってる自分をやっと認めることができたのに、もう莉央には会えない。
「友達」に戻ることすら、できない。
自分の存在は、自分の仕事は、莉央を傷つけることになってしまうから。

何より、莉央を傷つけたあとに気づいたって、もう、遅い……。


…莉央の事は、忘れるしかないんやろか…?

「っ……明日…撮影やった…。目、腫れんようにせな…」
  

そして、真がそれから眠りについたのは、3時半をすぎてからのことだった。



*  *  *



…悲しいですね、真君。
どれだけ番外編続くんだって話ですが、もうそんなに時間はかからないと思います。(ぇ

え!?悲しいからって見捨てないでください!このお話にはまだ続きがあるのです!←必死。;;

   涙を流すのは普通○っ○ーでしょう、と思ったそこのあなた。
このキャラのモデルだってきっとそんな恋はあったと思います。いえ、あると思います。

だって「はだしのゲン」見て号きゅ…(ネタばれにつき強制終了ー。

PrisΦnもながらくお待たせしていますが(本当だよ;
近々アップできる予定です!!
それではまだ体力のゆるす限り小説は書いていきたいと思うので、この作品、まだまだよろしくお願いします。

                      蒼海 聖奈



注意:この番外編は「私と君と、等身大の恋心。」のものです。
本編を読んでいない人は、まず19を読んでからお読みください。





『あのっ与果真くんですよね!?きゃあ、本物…』

A2Cが有名になるにつれて、ダンスを極めるにつれて、街で俺のことに気付く子は多くなった。
正直に言うと、面倒くさいのが半分、調子に乗ってるのが半分やった。

  気軽になんもできへん、っていうのも半分あるし、でもちやほやされんのはいややなくて、むしろ…そうやな、ナルシストに近い性格もあり、正直嬉しかった。
(その点は隆ほどではなくともメンバー内で2番目くらいかな、)


でも…でもな…?


―……。
「ファンが増えて、そら嬉しいよ。でもな…」
   ロケで地方に行ったとき。隣で真の話を聞く隆は、ずっと真剣な顔のまま空を見上げていた。


「俺…」
「「俺と、知り合いになりたいって」」

   重なった声に、真は思わず俯いていた顔を上げる。
「…メアド教えてくださいとか、いつもここ来るんですか?とか、中にはずっと好きでした、って初対面で言う子とか?」
  隆の問い返すような表情に、真は数分前の隆みたく空を見上げた。
 青く、透き通った空。
真はふう、と溜息をついた。

「…うん」
「で?真はどう思ってるの」
「俺、わからへんねん、その「好き」って意味が。それは、俺が芸能人やからやんな?芸能人として好きやから、ファンやから、せやからメアドとか知りたいしそんなこと言えるんやろ?
 ていうか、もう最近わからんくなってきた…好きって、なんやろ…」
「真、好きっていうのはさ、自分で見つけなきゃだめなんだよ。だから、俺らに好きっていってくれる子の好きも、本当の「好き」かもしれないじゃん?いつか、そういう子に出会えたら、きっとわかるんじゃないかな」
   隆の目は、いつになく優しくて、でもその奥には厳しさがまじっていた。
「…そっか……」

―俺には、当分分かりそうにないわ…。


 いつだって、「恋はした方がいい」って言い聞かせてるけど…実際は、それが大切になりすぎて傷つくのが怖いねん。
 だから、どんなんを恋っていうかわからへんのや…。



*  *  *


 もちろん、俺の予想通り、それから「可愛いな」とか思う子はいても、それが「好き」になることはなかった。
  でも、それで良かった。仕事は楽しいし、俺には友達もいるから…。

そんなとき、莉央に会った―。

『真に話したら、肩が軽くなった。ありがとう』
 そういって、莉央が初めて微笑った。

―…なんやろ、この気持ち。
                  …とくんっ…。
空が止まった。空気も、風も……。
                           …とくんっ。


    このとき、多分、すでに莉央は、俺の中で特別な存在やったんやと思う。


*  *  *


莉央の笑った顔が、ふとした瞬間に脳裏に浮かぶ。

              ……とくんっ。とくんっ。

久しぶりだったからか、最初はその感情がなんだかわからなかった。
 でも、だんだん真は気付き始めた。

―こういうのを、恋と認めるべきなんかな。
 ………でも…。

その気持ちは、決して揺るぐことのなかった真の心を混乱させた。

 本当は、心の奥でわかっていたのに。
もう、何も用事がないのに自分から電話をしたりする時点で、「友達」として見てないこと。

『好き。私……真…のこと、好き…』―。


  だからこそ、あの時、真は莉央の目を見ることができなかった。
彼女の頬を伝った一筋の涙が、彼女の潤んだ瞳が。
    真を、あまりにも真っ直ぐに見詰めていたから。

莉央の肩に置かれていた真の手が、離れた。
思わず、顔をそらしていた。

『………ごめん………』


   ―胸の奥が、痛い………こんなん、初めてや…。


『あは、そうだよね。…ごめん、いきなり。じゃあ…また、ね』
  莉央はそう言うと、いつかの笑顔で笑って帰って行った。

  それから、莉央からのメールも電話も、こなくなった。

真の方も、自分から連絡するだけの勇気が出せずに、真の携帯には莉央のメールアドレスと電話番号が残っているだけだった。その番号だけが、いつもの生活と違っていた2か月の証明になっていた。



  ―なぁ、莉央…?あの時莉央は、見いひんかったやんな?
 莉央だけには、見せたくなかったんや。
自分の気持ちもわからんままやのに…なぜか、無意識に出てきてしまったそれを、莉央にだけは見せたくなかったんや。



 『……っ』

ぽたっ…。

莉央が彼女の想いを告げた時、「ごめん」と呟いて顔を背けた真の頬を伝ったのは…。

…一筋の、透き通った涙だった―。

              ごめん、莉央。
ほんまに、ごめんな……。
 俺、わからへん…。自分の気持ちが、わからへん。

                    *


君を傷つけるのは、とても簡単なことで。
でも、君を取り戻すのは、決して簡単なことなんかじゃなかった。

昔何度も恋をしたことがあるのに、こんなに無垢な僕は、ただのバカなのかもしれない。

真っ直ぐな君の瞳に溜まっていた涙を…僕はどうやって忘れればいいんだろう?

  

ただ、このときの僕は、どうしようもなく「恋」を忘れてた。


*  *  *




連続!更新!(ぇ

番外編というよりお話の真君サイドですね。

①だけあってまだこの番外編は続きます。

「なんでこんな悲しいん!?」とクレームが来そうですが…気にしないよ作者は。(は

とりあえず、今日はトークは少なめにしておきます!

よければどしどしコメントしてください。意見でも感想でも見に来たよの一言でもかまいません。

では、コメント返信!!
コメントしてくれた人にはもれなく作者からひみつのプレゼントが(笑)