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空の追憶の果て。 ―Wishes upon the sky―

自他共に認める永遠の146センチの創作・エンタメブログです。おもに小話や短編、その他創作などをのんびりと更新していくことになると思います。なお、小説類は転載・持ち帰り禁止です。

Hello, goodbye.【Recommend Short】



ご機嫌いかがですか?元気にしてますか?
   最近忙しくて、会えないけど…考えすぎてませんか。その、色々と。
   考えすぎは体によくないから、深呼吸して気抜きなよ、たまには。
          ―END―



「……はぁ、」
 ため息をついて、目を閉じる。カチ、と音を立てて閉まった携帯は、未だ文面の送り主の声を自分に届けるようだった。
 心の中では、いつでも会いたい、隣にいたい…そう思えるほど大切に思っている相手。
 けれど、最近は互いに忙しくて、会えるどころか連絡すら億劫になっていた。というか、身体的にも忙しかったけれど、精神的に結構切羽詰ってるのはどちらかといえば自分のほうで。考えるべきことがたくさんある。
 それに思いを馳せていけば、結局辿り着くのは自己嫌悪。そうしたら上手く現実もいかなくて、ますます嫌になって、負のスパイラルなのだ。

 わかってる、自分がダメなことくらい。でも焦ったって、もがいたって、「現実」は全然好転してくれたりしない。
いや、しない気がするだけかも、しれないが。

「……、」
 ふと歩みを止める。後ろを歩いていた若い男女が、少し迷惑そうな視線を投げかけて通り過ぎて行った。
 手の中に握ったままの携帯を見やる。…あのメールは、未返信のままだ。
 視線を外して辺りを見回せば、忙しなく周りの時間は動いていた。
      単調に、まるで誰も互いに興味などないと嘯くかのように。

――…だけど、なんて現実は…自分の現実は複雑で、どうしようもないことだらけなのだろう。自分が、何をしたというのか。

 生暖かい空気が頬を撫でていく。もう空は夕闇というより夜の闇といったほうがいい程群青色に染まっていて。
なぜか自分の周りの時間だけ、ゆっくりすぎるほどゆっくり回っているように思われた。

――…早く、早く進むといい。自分が求めるような日々に変わるといい。

 だけど、自分は何を求めている?一体、何をそんなに欲しがっている。
    ただ、多分…今日や、明日や、その先毎日を。
       自由自在に潤せる「ナニカ」が、見つかるといい。




 脳裏に浮かんだのは、やっぱり君の言葉だった。

『日々巡る時間の中でさ、ふとこうやって、空を見上げるんだ。
そうしたら、のんきすぎる程世界はゆっくり回ってて、自分の悩みとか全部なんてちっちゃいんだーって、思える。
両手に何でもありそうな気もしてくる。
…そうすると、なんか寂しくてでも綺麗で温かい歌を歌いたくなる。』

 微笑みながらそう言った君に、自分は尋ねた。

「誰のために、歌うの?」

 答えは、何だったか覚えていない。
 でも君が名を呼んでくれた時の温かさだけは、覚えている。


***


 面倒くさい、自分はそう言った気がする。
『なんで。大事だよ、着信履歴とか。あと、返事が来ないよ最近ー』
 こういうセリフは、いわゆる「束縛」に入るのか。ああ面倒だ、何もかも…こういうのも。
 大体このセリフを放った人物は自分をなんら縛る権利のない関係にある。
 人間関係とかいうのは、実に肩が凝るものだと思う。

 とある日にそんな話を君にしたら、君はこう言っていた。

『たまにありじゃないかな、そういうのも。変化球みたいで、面白いじゃん』
どんな時も、君のそういう空気は揺るがない。自分も、そんな空気を手にしたい、そんな思考を手にしたい、そう思った。
よくわからない、自分にはよくわからない。そこまでの気持ちを抱ける相手は、自分にとっては本当に稀で。
いた、のかもしれないし…いなかった、のかもしれない。
 ただ君のいったことを、いつか…自分も、言えたら。


『愛す側の人も愛される側の人も、頑なに愛し続ける人も、皆出逢いを誇れるといいね。
それで、明日へ笑顔で迎えるといい』
 ……自分は、今、一体どこへ向かってるんだ。
『どこへだって行けるよ、』


――もう少し、様々なものを愛せるようになったら、行けるのかもしれない。
  でも、これだけは。君の全ては、愛せる気が、する。


「……。」
  突然、懐かしくなって、受信メールからメール検索して君からのメールを開く。


           春も、夏も秋も冬も、いつもここにいるよ。
         大丈夫だよ、ずっといるよ。だから、力になれそうな時は言ってね。
          君のこと、ずっとずっと好きだよ。大切な君だもの。


「……っ、」
   何故だろう。はっきりとした理由もないのに、涙が込み上げて止められなかった。
   ぽつん、そんな音がして、瞳から涙が溢れた。
  やがてそれは夕立のようになって、降りかかって、終わりを知らなくなる。

  何も持ってない自分が、ありのままで出来ることはなんだろう。
   ありのままで、いいのか?


 『君のこと、ずっとずっと好きだよ。大切な君だもの』


 その文面には、続きがある。


 P.S.ありのままで。ありのままの君が好き。



「…。……返信、するか」




         ご機嫌いかがですか?元気にしてますか?
       最近忙しいけど、会いに行くよ。会いに行くから。
       今日の世界は、何だかすごく君に逢いたくさせる。
         誰のために歌うんだろう。まだわからない。
        けど、全てが始まる気がするんだ。……いつか、多分。
       こんにちはもさよならも、君には毎日言いたい。




    P.S.君のこと、大切だよ、同じように。

             ―END―





――君の声が、呼んでる。優しさと情愛に溢れた、あの声が。




dedicated to N.I. and Y.H. with love.
Inspirated by: Hello, goodbye/M.A.

2014.1.2 first updated
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第3回オリジナル短編小説トーナメントを
開催いたしました。

ご参加お待ちしております。


また、それに伴い、過去開催回の結果ページを作り、
そこから、貴ブログへのリンクを貼らせて頂きました。
http://minmokkos.blog.fc2.com/blog-entry-45.html

不都合がありましたら削除しますので、
非公開でコメント頂けると幸いです。

2014.10.30 23:05 URL | みん もっこす #- [ 編集 ]













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