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空の追憶の果て。 ―Wishes upon the sky―

自他共に認める永遠の146センチの創作・エンタメブログです。おもに小話や短編、その他創作などをのんびりと更新していくことになると思います。なお、小説類は転載・持ち帰り禁止です。

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【Recommend Short】


―――マイクロフォンから 君に向かい唄ってるんだぜ
                 届いてくれたならぁ――…




白の世界の中、今日も夢を見る。
ブラックボックスに立ち尽くして、俺は歌を唄う。

頭上に広がる暗闇に、ちかちかと瞬く星。
それらのどれもが明るく照らすけれども、やはりそれは心もとない。
近いようだけれど、それは遠い。

す、と吸い込んだ息は清く自分の肺を満たしてくれる。
何色にも染まらない空気が自分の体を巡って、心臓がどくどくと唸りだす。

念じれば目の前にマイクが現れて、スタンドに立てたそれを俺は握りしめる。
握り手が赤く塗りつぶされたそれは、きっと自分が今までに見てきたたくさんの傷と心。

 感情は、準備万端だ。

いつだって魂はずっと此処にある。
このブラックボックスの、紅に塗られたマイクの底。
黒塗りの壁の向こう側が誰であろうと、伝えたい今の感情は吠えだしそうに疼いてる。

 きゅ、とマイクを握りなおせば、ブラックボックスの中地に足をつけた感覚を取り戻す。
何者でもあらぬ、何者かのために唄う。
あらん限りの声で、マイクのこちら側から得体のしれぬ向こうへ。

 願わくは、俺の願った通りに声が届いているといい。

瞼を閉じれば、ブラックボックスは完全に紅をも塗りつぶして音だけを世界に響かせる。
息が苦しくなっても呼吸が乱れても身体が震えても、頭が割れそうになっても崩れ堕ちそうでも。

 全力疾走するように、唄う。死ぬ気で唄う。

それが生きる道、それだけが存在意義、それが俺の灯。
ブラックボックスよ、俺の声だけを届けて。





「……っ、」
 夢から覚めて視界に入ったのは見慣れすぎた天井の壁紙。
つい癖でのばしすぎる自分の黒い髪が、ぱさりと枕に擦れる音がした。
最後に夢の中で瞬いた星が、まだ少し視界の端に残っている気がした。
 流れ星に願いを。
3回流れる間に唱えれば願いは叶う、そんな迷信ですら信じたかったあの時期を思い出した。

 両側に投げ出した手の、右手の指先をぼんやり見つめながらもう片方を額にあてた。
いつもは絶対にかかない汗をうっすらかいているのに気づき、苦笑する。
悪夢じゃあるまいし。夏でもないのに。
…それとも悪夢、だったのだろうか。否。

 暗闇に黒光っているだろう自分の眼を、あの場所へ戻すかのように瞼を閉じた。
遮断される視界。弱まる、いかんせん強すぎる自分の眼差し。
すう、と吸い込んで息を止める。
真綿で締め付けるみたいに少し苦しくなりはじめてから、ゆっくり呼吸を取り戻す。

 上手く扱えない言葉はほとんど届く前に放物線を描いて堕ちるのだから。
生まれ持ったこの眼差しも、防御するための言の葉も、結局自分を救えはしないのだから。
一瞬の刹那瞬いて消える星のように、いつか全て消えてしまうんじゃないかって。
 ずっと、それを思って怯えてきた。

ブラックボックスだけは裏切らない。
自分だけの黒塗りの世界。

 だけど儚くも強く瞬いた星たちは、ひとつふたつみっつ、増えていった。
誰かの白い掌と笑顔と喧騒が、あたたかい笑い声が、暖色の眼たちが、
 いつのまにかできたブラックボックスの隙間から垣間見えていた。


 未だ、ぼんやりとした自分の思考はきっと現と夢を行き来している。
境界線のこの危ういバランスが、ふわふわとしていて酔った時の様に心地よい。


――届いてくれるなら。

「……明日も歌いたい、」



 ああ、果てない自分のこの欲は。
明日もきっと吠えそうな心と燻った感情を持て余して、歌にして広がるのだ。

自分の世界、自分のブラックボックス、自分の声。
心が満たされるそのときまで、声が枯れるまで、きっと俺は死んでも死にきれない。


…出口のないブラックボックスに扉をつくってくれたのは、きっと。



                        
       To be loved
名もない扉

He sings eternally in his own black box.




T.W.L./Kanjani∞ 歌詞一部引用
Dedicated to the specified member of the group above.
Thanks to S.S.



*追記あり。
4月26日 再アップ。
12月23日 再修正。
※※※※※

追記。(追記機能をFC2 3年目で初めて使ってみます。)

…こっそりジャンル変更してみましたが。
わかる人はわかっちゃうショートですね。

ちょっとシリーズものにしてみようかどうしようか悩んでるので今のところこれ単品で。

そうです、モチーフは『真っ赤に燃える歌唄い』さんです。
特に知らない方もオリジナルってことで楽しんでいただけたらと思うので、モチーフさんについては語りません。
個人的なイメージもがっつり混ざってるので語りません。←

キーワードは「アイ(Eye,逢い、愛)」「ブラックボックス」「唄」「星」。

いつかモチーフさんのお名前みたいな凛とした星の名前をつけたキャラクターを書きたいです。
リサーチしてるんですが…何故かスピカ(おとめ座の星・ちなみに作者はおとめ座です←いらぬ情報)とかしか。

違うんだ。カタカナはいらないんだ。

いや…彼等の曲はインスピをいただけるのが多くて…というかベースとギターとドラムの効いた曲が。

イラストを更新予定(予告してしまった)だったので、にゅーすさんイラストともう一点ほど更新します。
いつやるの?今でしょ!(笑)
(最近これ異常なほど流行ってませんか…?ついにCMにも使われるように…)

2013.4.26
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拍手コメントをいただき、探し当ててやってきました(*^_^*)
コメント有難うございます。そして、初めまして。
素敵な世界ですね。
詩のような散文のような、歌のような。
内容からイメージするからかもしれませんが、曲に乗った歌のように感じます。
こういう世界観、好きです。
これからも時々お邪魔させていただきますね!

2014.02.18 20:31 URL | 大海彩洋 #nLQskDKw [ 編集 ]

>大海彩洋さま

お返事遅れてしまってすいません。
お手数までかけていただいてこちらこそありがとうございます!
思えばURLつけずの書き逃げみたいになってしまってましたよね、申し訳ありません。
改めまして、初めまして蒼海です。宜しくお願い致します。
そしてご感想ありがとうございます。
こちらこそ素敵なコメントをいただいて感激です。

>詩のような散文のような、歌のような。
内容からイメージするからかもしれませんが、曲に乗った歌のように感じます。

なんというか、的確すぎるご感想をいただいて嬉しいです。
このお話に関しましてはおっしゃる通りまさに歌から生まれていまして、
ここのお話はそのように生まれてくるものがたくさん置いてあるので。
結構くせのある世界観してるかなと思いつつ書き連ねているので一番有り難いお言葉です。
わたしもまた訪問させていただきます!

2014.02.19 22:44 URL | 蒼海 聖奈 #- [ 編集 ]













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